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伝統栽培

【これぞ伝統栽培】京たけのこの質を決める「土もち」とは?

11月。

日本一のたけのこ名産地である京都西山では、

敷き藁作業もおわり、いよいよ土もち作業に入ります。

敷き藁と土もちは京タケノコの質を大きく左右する土壌作りに置いて、

最も重要な作業と言えるでしょう。

 

土もちとは?

土もちとは、たけのこ農園全体に敷かれたワラの上に、

赤土をのせていく作業です。

たけのこの栽培方法の中でも最も重要な作業であると共に、

最もきつい作業でもあるそうです。

(職人曰く、「竹切り」と「土もち」が1位2位を争うキツさだそうです。)

それを表しているのが土もちを行う期間の長さです。

今年(2018年)は11月2日からスタートした土もちですが、

1月末までに終わるかどうか、という見込みだそうです。

広大なたけのこ農園すべてに土もちを行うには、

それほど長い時間が必要になるのです。

 

この時期のたけのこ農園はいく度に様子が変わります。

10月訪れた様子がこちら。

そして土もちを始めた11月の様子がこちら。

 

全然違いますね!

写真はごく一部しか映っていませんが、

たけのこ農園全体が一変する様はまるで生き物のように生きているのでは?

と錯覚するほどです。

これらの変化が見られるのも、

伝統の栽培方法を行なっている京都西山エリアだからこそです。

 

土もちの効果とは?

土もちの効果を説明するためには、

まずはたけのこにとってどのような土壌が良いかを解説する必要があります。

粘り気のある粘土質の土が良い

美味しいたけのこを栽培するには粘り気のある粘土質の土で栽培する必要があります。

たけのこも他の作物同様、成長するためには十分な水分が必要です。

砂のような土では、水分が地中に保たれずたけのこに栄養が行き届きません。

また、乾燥した土は非常に硬い土壌を作り出します。

縦にすくすく伸びる性質のあるたけのこですが、

土が硬い場合は曲がってしまうことも多く、形が悪くなってしまいます。

このような状況を防ぐためにも、

土もちを行い常に土壌をベストな状態にしておく必要があります。

 

土もちの土はどこから持ってくるの?

美味しいいたけのこの育成に必要不可欠な土もちですが、

その大量の土はどこから持ってくるのでしょうか?

答えは、同じたけのこ農園内にあります。

広大なたけのこ農園の中にはいくつかの土採り場が設けられています。

とは言っても、この土採り場は元々あった物ではなく、

たけのこ職人が作り出しているものです。

取材させて頂いたたけのこ農園は山にあるため、

非常に勾配がきつくその中で転々と土採り場が作られていました。

土の確保が想像以上のキツさ

土採り場はどこでも作れるかといえば、そんなはずありません。

同じ山の中でも土壌は異なるもので、

粘土質のたけのこ栽培に適した土が手に入る場所は限られています。

そのような条件の中で、できるだけ無駄な動きが出ないよう土採り場を設けます。

「無駄な動きがでない」とは、

例えば、広大なたけのこ農園の中に一箇所しか土採り場がなければ、

土の補充のために常にその場所に行かなければなりません。これは非常に非効率です。

ちなみに、土の運搬は以下の写真のような運搬車で行います。

一度に運搬車にのせられる土量は限られているため、

どこに土採り場を設置するかは大きく効率を左右するのです。

土採り場は定期的に場所を変える必要あり

せっかく条件に見合った土採り場を設置しても、

そこで無限に土を確保できるかといえばそんなはずありません。

そのため毎年土採り場を作っていく必要があるのです。

ここで大きな問題になるのが、親竹の育成場所です。

親竹とは、今後10年間子供を産ませるために

あえて収穫せずにおくたけのこの事です。

もし、次の土採り場候補地に親竹があればどうなるでしょうか?

10年を見越して立てた親竹を伐採せざる終えません。

このような事にならないよう、

たけのこ職人は数年先のあらゆる条件を加味した上で、

山全体のレイアウトを作っているのです。(まさに職人技ですね!)

危険と隣り合わせの土採り場作り

土採り場作りは人力で行うには厳しすぎるため、

ショベルカーなどを活用します。

これにより作業は効率的に行えるようにはなったのですが、

たけのこ農園内での重機の運転は非常に危険です。

以下の写真をご覧ください。

竹が生えているたけのこ農園の中、

ショベルカーが通ることのできる道は多くありません。

また、あまりに切り返しなどをすると地中にあるたけのこの地下茎を切ってしまう事もあるため、

できるだけ直進で進めるルートを選択する必要があります。

これにより重機の操作の難易度は非常に跳ね上がります。

 

 

このような勾配のきつい場所を通る必要がある事も頻繁だそうです。

少しでも操作を誤れば、重機がコケてしまうような危険と常に隣り合わせなのです。

(運搬車で土を運ぶ時も同様の危険があります。)

実はこの取材をした日が、

たけのこ農園の中でも最も危険な土採り場を活用した土もちだったので、

私も取材しながらハラハラする機会が何度もありました!

運搬車でたけのこ農園中へ土を運ぶ

土採り場に到達するだけでも危険がたくさんありましたが、

そこから運搬車でたけのこ農園中に土を運ぶ際にも危険がいっぱいだそうです。

※今回の取材では運搬している実際の様子は撮影することができませんした。

一見安定しているように見える運搬車ですが、

少し操作を間違えるとこのような状況になることも。

 

この時は誰も怪我がなく良かったのですが、

このような作業を1日何度も数ヶ月に渡って行なっているのです。

 

そして絶景となる

このような危険と隣り合わせの厳しい作業を終えたたけのこ農園の姿は

まさに絶景です。

土をまく際にも、

土もちした上を歩いて自ら土壌を固めてしまわないように計算しながら行われるため、

靴跡ひとつない芸術的な景色が広がります。

ワラの上におかれた土はふわふわで、手で押せば弾力感がしっかりとわかるほどです。

このような気が遠くなるような伝統栽培方法の積み重ねこそが、

京たけのこが日本一の品質だと言われる所以なのでしょう。

 

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「土もち」を動画で見てみよう!